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デジタル『和英語林集成』とは

『和英語林集成』は米国人宣教医J.C.Hepburnにより編纂された日本初の和英辞典です。また「ヘボン式ローマ字」はこの辞書の記述法です。
日本人の各層の言葉を集めた、比肩するもののない和英・英和辞書として、幕末から明治30年頃まで3回の改訂を行いながら広く使われ、海外でも出版されました。日本語を解説した「国語辞典」としての評価も高く、現在の『新潮現代国語辞典』にも語彙や用例が掲載されています。この貴重な辞典をデジタル技術により、検索できるようにしました。
また、本学所蔵の幕末から明治時代の代表的英和・和英辞典の画像と年表をつけて、和英・英和辞典の総合的な情報を検索できるサイトとしました。(私立大学図書館協会賞受賞)

『和英語林集成』デジタルアーカイブス構築に寄せて

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文学部教授 樋口隆一(図書館長2004/4~2005/3)

J. C. ヘボン(James Curtis Hepburn,1815 - 1911)が1867年に出版した『和英語林集成』(ヘボン辞書)は、日本最初の和英辞典であり、1896年(明治29)に南条・岩崎・ブリンクリー『和英大辞典』が出るまでは類書を見ずに使われ、その後のわが国における辞書出版にも多大な影響を与えた。近年では、たとえば『新潮現代国語辞典』に数多くの用例や語義が採用されているように、日本語語彙の変化を知る上での基本的文献と認識されている。 ヘボンはまた初版出版後も、再版(1872年)第3版(1886年)と『和英語林集成』の版を重ね、語彙の増補にとどまらず、用例内容の充実に努めた。その変遷は、文明開化期における近代日本語の確立と変貌を物語る、生きた資料にほかならない。

写真 明治学院大学図書館所蔵『和英語林集成』全版

明治学院大学図書館は、ヘボン自筆の原稿をはじめとして、『和英語林集成』の全ての版(1~3版、ロンドン版、ニューヨーク版、上海版、縮約丸善版ほか)を揃えて所蔵しており、今回、これら全ての版と自筆原稿を、デジタル技術によって検索し、画像表示することができるデジタルアーカイブスを構築した。このことにより、従来、オリジナルを用いては非常に困難であった各版の比較研究が容易となった。このデジタルアーカイブスが、この意味においてわが国における英語学や国語学の学問の発展に少なからず貢献できれば幸いである。

明治学院大学図書館はさらに、幕末から明治における膨大な辞書のコレクションを所蔵している。『和英語林集成』デジタルアーカイブスとならんで、これらの貴重書コレクションも研究者に公開し、さまざまな観点からの比較研究が可能となる環境を整備するよう努力したい。

近代辞書の成立過程は、そのまま近代日本文化の発展過程にほかならない。1862年、横浜居留地に創設された「ヘボン塾」に端を発し、それから実に144年の歳月を経た現在もまた、有為なる若者たちの教育に専心する明治学院大学が、このデジタルアーカイブスによって、近代日本文化の見直しと、世界に発信する21世紀の日本文化の構築に資することができればこれに過ぎる喜びはない。

『和英語林集成』デジタルアーカイブス制作奥付

『和英語林集成』デジタルアーカイブスは、本学卒業生 故岩堀行宏様の辞書コレクションが、奥様まち子様より寄贈されたことを機会に開始されました。
このアーカイブは制作期間1年弱という極めて短い時間の中で、明治学院大学の多くの人々の協力により制作されています。さらに修正・改良し手を加える必要はありますが、1年間の到達点として公開いたします。
これを機会に『和英語林集成』を編纂したヘボン博士の塾から発展した大学として、幕末・明治初期の辞書コレクションを押し進め充実を図ると共に、明治学院大学の持つ貴重な資料をさらに社会に向けて発信したいと思います。

2006年2月 明治学院大学図書館

制作・著作 明治学院大学図書館
総合監修 樋口 隆一(文学部教授・図書館長)
指揮・制作 松岡 良樹(図書館次長)
年表・目録制作 佐藤 一志(図書第二課)
資料制作協力 原 豊(明治学院歴史資料館)、木村一(現東洋大学文学部専任講師)、山本昌実(横浜図書課課長)、金子美咲(横浜図書課)、宮城 玲子(図書第二課)、峯 環(図書第二課)、川野辺利幸(調査役)、岩堀まち子(岩堀行宏氏夫人)、明治学院大学図書館スタッフ
アーカイブ画像撮影 堀内カラー株式会社
Web・データベース制作 株式会社 一星企画
写真 萩原丈司・潮田登久子
初版公開 2006年2月28日

▽修正増補第2版制作:2008年3月31日

このアーカイブス公開後、たくさんの人々に注目され、ご協力をいただくこととなりました。ロンドン版の原装丁本や6版・7版も入手でき、新たに判明した事項を『和英語林集成』種別と解説、目録の記載として今回修正しました。新規項目としては「ヘボンの見た日本研究書」「S.R.ブラウンの英会話書」などの項目を追加し、ヘボン辞書のバックグラウンドの広がりを伝えました。
今回の増補で最も大きかったのは、幕末期と明治期の代表的な辞書の内容が一目でわかり比較できる約30冊・1100枚の辞書画像の追加です。さらに、本学文学部付属言語文化研究所と協力して2007年度に制作した「シャルルボア『日本誌』デジタルアーカイブ」をリンクし、ヘボンの辞書へ至る思いを考えてみました。

2008年3月

総合監修 丸山 直起(法学部教授・図書館長)
指揮・制作 松岡 良樹(図書館次長)
指揮・制作 明治学院大学図書館 利用サービス・電子情報課スタッフ・明治学院大学文学部付属言語文化研究所

▽修正増補第3版 2010年3月31日

  • 追加:『語林集成漢字索引』検索機能付きで追加。
    『公益英倭辞典』等画像追加しました。
  • 修正:「ヘボン式ローマ字への道」木村一先生の論文により手稿部分修正
  • 修正増補チーム(資料管理課コンテンツ係):城島茂樹・渡辺順子・椎名ちか子・宮本美帆子・松岡良樹

2010年3月

<参考資料・典拠文献一覧>

写真『英和・和英辞典の誕生』岩堀行宏

  • 『英和・和英辞典の誕生』岩堀行宏
  • 『英和・和英辞典の誕生』岩堀行宏(図書出版社)
  • 『世界史年表第二版 歴史研究会編』(岩波書店)
  • 『日本の辞書の歩み』(辞典協会編)
  • 『ヘボン書簡集』高谷道男編訳(岩波書店)
  • 『ドクトル・ヘボン』高谷道男(牧野書店)
  • 『ヘボンの手紙』高谷道男(有隣堂)
  • 『ヘボンの生涯と日本語』望月洋子(新潮社)
  • 『ドクトル・ヘボン関連年表』 石川潔著
  • 『ヘボン物語』村上文昭(教文館)
  • 『「和英語林集成」復刻版 』解説松村明・飛田良文(北辰)
  • 『明治学院100年史』学校法人明治学院
  • 『日本英学史の研究』豊田實(千城書房)
  • 『明治事物起源』石井研堂
  • 『図説日本の洋学』惣郷正明(築地書館)
  • 『辞書漫歩』惣郷正明(東京堂出版)
  • 『辞典の話』惣郷正明(東京堂出版)
  • 『日本辞書辞典』沖森卓也、倉島節尚、加藤知己、牧野武則編(おうふう)
  • 『日本欧米比較情報文化年表 1400年~1970年』小成隆俊編著(雄山閣)
  • 『日本の英語辞書と編纂者』早川勇(春風社)
  • 『「英和対訳袖珍辞書」の遍歴』堀達彦・遠藤智男(字遊社)
  • 『本と活字の歴史辞典』印刷史研究会編(柏書房)
  • 『鯨と捕鯨の文化史』森田勝昭(名古屋大学出版会)
  • 『蘭和・英和辞書発達史』長嶋大典(講談社)
  • 『英語辞書の変遷』小島義郎(研究社)

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