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S.R.ブラウン『日本語会話』との関係

『日本語会話』の中表紙

Samuel Robbins Brown(1810-1880)は米国オランダ改革派教会の宣教師として1859年に来日し、ヘボンが宿舎としていた神奈川の成仏寺に同居し、 4年後の1863年に『日本語会話』 "Colloquial Japanese, or, Conversational sentences and dialogues in English and Japanese, together with an English-Japanese index to serve as a vocabulary and an introduction on the grammatical structure of the language" を上海の美華書院(Presbyterian Mission Press)から出版する。この会話書は現在では江戸の教養ある階層の言葉を記録したものとしての資料 として評価されている。

彼は、来日以前にシンガポールでヘボンと出会い、神奈川時代をヘボンと起居をともしながら過ごし、横浜居留地に移ったのちもヘボンと一緒に聖書の翻訳も手がけているほど親交が深い。

索引語彙表の項目の当初ページ、
Gのページ

ブラウンの『日本語会話』の203ページから243ページは、この本に収録された1270の例文と150の対話文の索引・語彙表 (Index and Vocabulary/of the English Words and Phrases/ in the Alphabetically Arranged Sentences, /with their /Corresponding Expressions in Japanese)である。 これはAからYまで、英単語から関連する例文を検索できるようになっており、 「Anybody」を引けば 「どなたでも、誰でも、例文5」とわかるように作られた索引であるが、これは簡単な辞書でもあり、Do,Get,Takeなどをみると興味深い。

日本語会話の1ページ

このS.R.ブラウンと二人で日本語研究に費やした日々があることは容易に推察され、当然のこととして『和英語林集成』の編纂内容にも多々影響があると思われるが、研究が極めて少ない。
また、この会話書は、1867年の『和英語林集成』に先立つこと4年前に同じ上海の美華書院で印刷され、日本語はカタカナ活字で作成されている。『和英語林集成』では表題紙と日本漢字、カタカナが岸田吟香の手によるとされているが、このカタカナは誰が書いたのであろうか。同時に初めて日本語を横書きにした印刷本が『和英語林集成』と言われているが、このブラウンの『日本語会話』が日本語を横書きした初めての印刷本と思われる。

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