聖書和訳史概説
キリスト教伝来はフランシスコ・ザビエルの1549年の来日に始まるが、その後40年間での聖書翻訳は一部に留まり、それもほとんど残ってはいない。
本格的な聖書和訳は、幕末になり開国によって来日したプロテスタント宣教師たちが中心となって行われている。翻訳には神学上の知識と語学力が共に必要であり、簡単ではなく、その数はさほど多くない。
また聖書は旧約聖書と新約聖書からなるが、新約聖書から訳されることが多い。
キリスト教禁令下での聖書和訳の試み
開国以前にも、聖書和訳の試みは東南アジアや中国を拠点として取り組まれていた。
開国後に宣教師たちの出会った困難は、一つはキリスト教に対する政治的弾圧。二つ目は、言葉が地方・身分・男女・話し言葉と書き言葉・文字と字体などの大きな差があり、文法が未解析という言語学的困難、三つ目がキリスト教の用語をどのような日本語として翻訳すれば良いかという神学上の困難であった。
各派共同での和訳
いままで日本での各派共同で成し遂げた聖書の翻訳は、合計4回である。
(1)明治元訳(日本語初訳)
新約聖書1880年(明治13) 旧約聖書1887(明治20)
S.R.ブラウンとJ.C.ヘボンがそれぞれ委員長となり和訳した、最初の日本語への全訳である。いまだ日本語が不安定な時代の訳であり、先行した新約聖書の日本語は特に苦労した翻訳となった。
解説:明治元訳の完成ー日本初の聖書全訳へ
(2)大正改訳(近代日本語訳)
新約聖書 1917年(大正6)
新約聖書が近代日本語に訳され、明治訳の旧約聖書と合わせて使われていく。
戦後に口語訳が出るとこの版は「文語訳」として利用される。
解説:新約聖書の大正改訳ー近代日本語への翻訳へ
(3)口語訳(現代日本語訳)
新約聖書1954年(昭和29)旧約聖書1955年(昭和30)
戦後になり1955年(昭和30)に「口語訳」が出ると、爆発的に部数を伸ばした。
解説:戦後の口語訳ー現代日本語への翻訳へ
(4)新共同訳(カトリックとプロテスタントとの共同訳)
1987年(昭和62)
カトリックとプロテスタントとの共同訳を求める世界的潮流に基づき、「新共同訳」の翻訳が成し遂げられ、現在利用されている。
解説:新共同訳聖書ーカトリックとプロテスタントとの共同訳へ
明治学院の人々の聖書和訳への挑戦
明治学院の人々は、個人訳も日本初めての試みを次々と行った歴史を持っている。
解説:明治学院の人々の聖書和訳への挑戦へ
個人訳・出版社訳などの試み
聖書はこの外にも各教派や個人、出版社によって翻訳されてもいるが、決して簡単ではなく、その数も多くない。
解説:個人訳・出版社訳などの試みへ
各教派で独自に訳された聖書
バプテスト・聖公会・カトリック・正教会などは、一部あるいは全部を独自に訳出している。
解説:各教派による独自の和訳へ