明治元訳完成祝賀会でヘボンが示した聖書
1888年(明治21)2月3日、東京築地の新栄教会で「日本語聖書翻訳完成祝賀会」が開かれた。
翻訳の中心となって働いたヘボンは卓上に置かれた北英国聖書会社発行の優美な装丁の5冊の聖書を取りあげ「今の私の勤むべき唯一事が残っている。それは常任委員の訳せる旧約全書と、横浜委員の訳せる新約全書とをば、妥に日本におけるプロテスタント派の宣教師全体の名において一巻のバイブルとなすべく両書を一つに合せることである」と語った。
「卓上には5巻よりなる優美の装丁の聖書が置かれてあった。それは翻訳終了の直後、昨年12月31日スコットランド聖書会社よりヘボン博士に贈呈したのだ。ヘボン博士は演説しながら、その言葉につれて、片手に新約全書を、他の手に旧約全書をとり、うやうやしく両書を幷置して完全なる一部のバイブルとなした。」(『植村正久とその時代』より)
この「優美の装丁の聖書」は今回デジタルアーカイブスに明治元訳として収録した、1887年北英国聖書会社の発行したこの5冊本の聖書である。