いまに生きる『和英語林集成』
ローマ字のあふれる街の風景
『和英語林集成』の日本語記述法「ヘボン式ローマ字」は現代の街にあふれ、国際化時代を生きる私たちにとっての日本語表現として、なくてはならないものとなっている。日本人はことばをまず漢字で記述することを知り、ひらがなとカタカナを案出し、そして第4の記述法である「ヘボン式ローマ字」に出会った。このことが大きく私たちの文化をふくらませているといえよう。
ヘボンは、生きた教師達により幕末から明治に渡っての各層の日本人の言葉を拾い出した。日本語を学ぶために作られた和英辞典は、品詞を記載し用例も豊富で、当時の日本語を記述した国語辞典であったとも言える。
現代でも『新潮現代国語辞典』はヘボン辞書の語彙と用例をのせている。
その編集方針を抜粋してここに紹介すると
一.この辞典は、現代語を、明治初年から現代までの流れの中でとらえ、多くの文献について調査した結果にしたがって見出し項目をえらび、簡約ながら適切な解説を施して現代生活に役立つものとして編集した。見出し語総数は七万九千余語である。
二.現代国語の言語辞典としての性格上、古語・百科項目は原則として収めなかった。
三.本辞典は、小辞典ではあるが、調査に基づく出典を示し、具体的な用例を数多く掲げることに努めた。用例は、語義の理解に有効なものを選んだ。なお、ヘボン「和英語林集成」(第三版)については、その版が出版された明治十九年と現代の語彙(ゴイ)の比較を見るため、語義と合うものはすべて[ヘボン]と示した。
現代でもヘボン辞書の語彙と用例をのせている
『新潮現代国語辞典』
現代の国語辞典とともに、この『和英語林集成』デジタルアーカイブスを通じて意味や語句の変遷を知り、言葉のふくらみを知り、新しい光が得られることを期待する。