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ヘボンが参照した辞書

ヘボンは『和英語林集成』初版の前書きでこう記している。
In compiling this work the author has labored under the very great difficulty of having had little to assist him from the works of predecessors in the same field. The only works of the kind within his reach were the small vocabulary of Dr. Medhurst published in Batavia in 1830; and the Japanese and Portuguese Dictionary published by the Jesit missionaries in1603. His principal dependence, however, has been upon the living teacher, so that he feels himself alone responsible for every thing in the work.

ここにかかれた1830年発行のMedhurstの辞書は、ヘボンのサインと鉛筆での書き込みがある本が明治学院大学図書館に存在する。
しかし、何年探しても学内のどこにも『日葡辞書』は見つかっていない。ヘボンの和英語林集成は1867年(慶応3)であり、日葡辞書は1603年に長崎でイエズス会の印刷機で発行され、この2つの辞書の間には264年の間がある。果たしてヘボンは、どこで『日葡辞書』を手に入れたのだろうか..。

ヘボンの神奈川上陸は1859年(安政6)10月であり、米国から大西洋・インド洋回りでシンガポール・上海などに寄港している。また、1840年から1848年まで実質5年の間中国で宣教医をしていた経験もある。漢字は中国語の知識から学んだらしい。ヘボンはこの宣教医時代に『日葡辞書』をどこかで見たのであろうか。しかし『日葡辞書』は現在世界で5冊しか確認されていない稀覯本である。 この時代でも閲覧することは極めて困難であったといえよう。この答は長い間謎とされてきた。しかし、このアーカイブ制作中にいくつかの発見があった。

『日葡辞書』表題紙(左)、同本文(右)

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